最近はコロナのために行政からの掲示板や回覧用の資料が減ってしまい、オレオレ詐欺などTVニュースで伝えられるような詐欺に関する情報があまり廻っていませんが、これに関する被害は減っていません。
これまでは比較的高年齢の被害者が多いですが、最近はネットを利用した悪質な詐欺が多くなり、若い方の被害も増えています。
著者は、この関係の仕事を専門にしていた訳ではありませんが、情報通信関連の仕事をやってきた事もあるので、ここではそうした被害にならないための知識を解説します。
日本人がこうした被害になりやすい背景はいくつかありますが、海外駐在した経験から、私が一番の(日本人が被害を受けやすい)違いと思う事があります。
それは;
欧米文化は少ないアルファベットだけの組み合わせ(パソコン上では1バイトで定義が出来るのでシンプル:最大で256種類ですむ)で文章を構成しており、そのため「記号文字を扱うためキーボードを利用して文章を作る事が必須」であり、最初からメールアドレスの様な文字記号列になじんでおり、老若男女ほぼ全員にこれに対する理解力がある事です。(注意:バイトとはコンピューター用語で2進法であらわされる数字が8つで構成さているもの)
一方の日本人は、多数の文字・記号(パソコン上では2バイトで定義される:最大で65,536 種類となる)の組み合わせを覚えて・使わなければならず、またキーボードが無くとも情報通信(例えばFAX)が出来たため、文字記号列に対して理解力が乏しいという事です。特に中高年はキーボードなどめんどくさいとして、自ら何もしてこなかった人やこうした仕事に関連していない人たちは欧米人と大きな違いがあります。ある意味、詐欺に合いそうな人が多いのです。
日本人は中学生から高校生まで少なくとも6年、大学も入れれば10年英語を習い、アルファベットになじんでいるにもかかわらず、年代に関わらずアルファベットの文字列に対してなかなかなじめていない人が多いのではないでしょうか?
更に輪をかけているのは、メールアドレスやホームページのアドレスも、自動日本語変換機能があるため、ついつい日本語文字だけを見て(裏に隠されている絵文字記号列を見ていない)判断してしまう事です。
ですので、今からでも遅くありません、少し勉強してください!
1.ネットを使った詐欺に対してどうしたら良いか?!
ネットを使った詐欺はいろいろとありますが、一番厄介なのは「なりすまし」によるメールに対して、利用者が反応してしまう事です。
受信した時のタイミングで、ちゅどその頃に、通信料の支払い、カードによる支払い、税金の支払い、何かの申請をした直後、行政や一般の会社からの連絡待ち、何らかのサービスを待っていた、・・・等々の事があったころに、「つい」メールを見てしまう事が引き金になっています。
2.おかしいメールかどうかの見極め。
最近は手がこんできて、一般の人には見極めがつけにくいメール、SMSが多くなっていますが。おかしいメールかどうかを見極める前の基本は、自分に関係ないものは、「ごみ箱」に直ちに捨てる事です。
それでも少し関係ありそうかな?もしかして、この前手続きした事が問題なのかな?支払いが遅れてしまったためにクレームが来たのかなど、少し身に覚えがある場合は、最低でも以下に注意が必要です。
■ 行政(税務署・区役所・市役所・警察署などの公的機関)から個人に対するメールでの問合せはほぼ100%ありません!!
行政関係のメールはほぼ100%インチキです!!
行政側とメールで情報通信するのは、基本的に関係者や、特殊な事前認証をした場合のみです。役所がメールを送ってくるとしても、メールですら圧縮されて暗号化しています。そんなメールは普通の人には100%来ません。
もし何らかの手続きや申請をしたことに関する結果や問い合わせは、レターか電話によって行われます。
ただし、その電話がインチキなケースはあるので、もし役所などで手続きをした場合は、連絡先の電話番号を聞いて、事前にスマホの登録しておきましょう。そこの市外局番からの電話であれば出ても大丈夫です。
また、電話がきたとしても信用せず、まずはどこの組織の誰かを聞いて、電話番号を聞いてみてください。そして、電話番号を確認してからかけ直しますといえば問題ありません。その時点で電話が切れると思います。
■ 通信会社や通販会社からのメール・やSMSはドメインを確認する事!
この手の詐欺が一番多いのかと思います。
一番利用者に知ってほしいのは、通信メールの「ドメイン」と呼ばれる部分の理解を持つ事です。
メールアドレスの構成は以下の様になっています。
① アドレス部分➡自分で決めたドメインと組み合わせた世界で一つの認識記号
➡ここに会社名があるような場合はインチキです。
② アドレス区分記号➡いわゆる@マーク(アットマーク)でこれは関係なし
③ ドメイン前部分➡どこの組織名を表す記号
➡ここが会社名か組織名です。
「.文字列」を入れて組織の部門を表す場合もあります。
④ ドメイン後部分➡どういった種類の組織体系かを示す記号。
➡この部分で、信用力がある程度わかります。
ここにある「④ドメイン後部分」をまず確認しましょう。なおホームページのサイトで比較します。@マークはありませんが、www以下がドメインなので比較できます。
1) 「.co.jp」これが世間一般的な会社を示す記号です。おかしい企業体ももち
ろん使っているケースもありますが、信用力はあります。
https://www.amazon.co.jp/ ➡アマゾンのサイト
https://www.yahoo.co.jp/ ➡Yahooのサイト
https://www.nissan.co.jp/ ➡日産自動車のサイト
2) 「.go.jp」これは政府系の組織を示します。
https://www.nenkin.go.jp/n_net/index.html ➡日本年金機構
https://www.nta.go.jp/index.htm ➡国税
https://www.meti.go.jp/ ➡通商産業省
3) 「or.jp」これは非営利法人などの組織を示します。
https://www.nhk.or.jp/ ➡NHK
https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/ ➡横浜市みどりの協会
4) 「ac.jp」これは大学などの学術系(acはacademicの略)の組織
https://www.ynu.ac.jp/ ➡横浜国立大学
5) 「ne.jp」これは皆さんが使っている通信会社のドメインです。
(neはnetworkからきている)
ドコモ、はこれを使っていますが、最近AUやソフトバンクは
以下の「jp」に移行しています。
https://www.docomo.ne.jp/ ➡ドコモのサイト
6) 「.jp」これも世間一般に広がっている組織体を表します。最近は行政体
や大きな会社の例えば、子会社やマーケティング専用とかに使われます。
https://www.police.pref.kanagawa.jp/ ➡神奈川県警のサイト
https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/ ➡東京都品川区役所 のサイト
https://global.toyota/jp/ ➡トヨタ自動車の世界向けサイト
7) 「com」欧米の企業体で良く使われます。日本企業で世界を市場相手に
しているところなどはこれを使っています。ただし、1)、2)、3)と比べ
て以外にも、信用力は落ちます。(全世界がつかっているため)
特に中国企業はこれをつかっているケースが多いので要注意です。
https://www.au.com/ ➡AUですが、親会社であるKDDIが全世界へ
光通信網を持っているためかと思います。
https://www.kddi.com/ ➡KDDI
以上の通り、このドメイン部分(@マーク)以下が、違っていたら100%インチキです。また、文字を少しだけ変えている場合もあります。
例えば、amazonの2つ目の”a”が”o”となっていても小さい文字だと読み間違える事があります。
https://www.amozon.co.jp/ となっているだけで、意味は全く違います。
まさしく文字記号の認識力が問われます。
慣れていないかもしれませんが、怪しそうなメール・ショートメッセージが来たら以上を確かめてみてください。文字が少しでも違っていたり、ドメインの文字列がおかしかったら、それらのメールは捨てる事です。
■ 使っている文字がおかしい!文面がおかしい!そのようなメールは全てインチキです。
怪しいメールのほとんどは中国圏から来るものです。特に案内する文字列におかしい漢字が使われているところがあったり、関連するホームページに使っていない文字や省略された漢字が使われているようなケースは、ほとんどがインチキです。
ネットショップでも同様で、使っている文字(漢字)がおかしいものが沢山あります。それらのショップでの購入は止めた方が間違いありません。お金のやり取りが大丈夫だったとしても、送られてくる商品は怪しいものや、使ってもすぐ故障したりします。
以下は神奈川警察が作成したポスターです。一度見ておいてください。
家族に年寄りがいる場合は、以下を印刷して手渡すと効果があるかもしれません。